OSJ奥久慈トレイルとは…
OSJトレイルランニングシリーズ第3戦は奥久慈トレイルだ。奥久慈とは茨城県北部の久慈川上流域が該当地域であり、大会は久慈郡大子町、常陸太田市を舞台として開催されている。コロナ禍で開催出来なかった年もあるが、2025年で15回目の開催となる。この山域はそれ程高い山は無く、コース上で最も高い山が奥久慈男体山。標高は654mほどしかない。しかし、奥久慈トレイルを表現するこんな言葉がある。
「奥久慈半端ないって」
今年は(も?)コース変更を行った結果、ロング(約60km)はミドルディスタンスの大会では国内トップクラスの累積標高となりそうだ。制限時間も厳しく、完走するのは一苦労だ。一方、ショート(約30km)のコースはキツイものの、制限時間は緩めの設定。多くの方に奥久慈の山域を体験してもらい、いつかロングに挑戦してもらいたい。そんな願いを込めた。
受付日【5月24日(土)】
奥久慈トレイルの選手受付は、ここ数年は常陸大子駅近くの文化福祉会館「まいん」で行っていたが(※ロングのスタート地点が変更となった2023年は除く)、今年は町役場隣の大子町営研修センターの体育館で行われた。この日の夕方から雨予報が出ていたが、体育館の中と言うことで雨の心配は無用だ。午前中から協賛メーカー様、販売店様も続々と体育館に到着し、受付開始に向けて準備が着々と進んでいく。
13時から選手受付を開始。今年の選手の集まりはまばらな印象だ。受付時間内に競技説明会やじゃんけん大会なども企画しており、昨年から再開された前夜祭の影響もあったかもしれない。
14時30分から各出展ブースの紹介から、競技説明会を実施。その後は、今大会の応援ランナー、白河ゆうと選手とのじゃんけん大会を開催。じゃんけん大会の景品には協賛会社様からもご協力をいただき、豪華な景品が揃った。そんな景品を掛けてのじゃんけんになる為、参加者は結果に一喜一憂し、会場は盛り上がった。
そして、17時からは地元の方々に寄る、選手へのおもてなしタイムの前夜祭と続いた。前夜祭では地元の飲食店が奥久慈しゃもや常陸秋そばなど、地元食材を使用した料理を選手に振舞い、YOSAKOIの演舞も披露された。毎年楽しみにしてくれる選手もいれば、初めて目にする選手もいたと思う。奥久慈トレイルの思い出の一つになっただろうか。
大会日【5月25日(日)】
ロングのスタートは5時30分。4時30分頃から選手が集まり始めるが、天気は雨。それもかなりの雨量だ。天候によってはコース変更の可能性をSNSなどで選手には伝えていた。天候は回復傾向にあるものの、スタッフが早朝からコース確認を行い、結果としてコースの一部変更を決めた。ロングの開会式でコース変更を伝え、定刻5時30分にレースはスタート。スタート・フィニッシュ地点となる袋田第一駐車場で難コースにチャレンジする選手たちを見送った。
一方、ショートのスタート地点、竜神大吊橋はスタート時刻が7時と言うこともあり、スタートセレモニー開始の6時50分には雨は上がっていた。ただ、霧も出ていて、コース上の景観ポイントの一つ、おかめ山での眺望は期待出来そうにないコンディションだった。ショートに参加する選手にもコース変更を伝え、ショートも定刻通り7時にレースがスタートした。
両カテゴリーがスタートして、多くの選手は急峻なアップダウンの繰り返しと、前夜から降り続けた雨のせいで滑りやすくなった奥久慈のコースに四苦八苦したはずだ。奥久慈トレイルと言うと、晴れて気温が高くなる。そこに強烈なアップダウンを繰り返すコースから、「奥久慈半端ないって!」、と言うつぶやきや悲鳴が聞こえてくるのだが、今年は少し方向性が違っていたようだ。ただ、奥久慈が半端ないのは結果として変わらず、ショート女子優勝の沼田夏楠選手は「奥久慈で過去1番転んだ」、とインタビューで話してくれた。そのコメント通り、フィニッシュ地点に戻って来る選手はみんな泥だらけ。ただ、多くの選手が完走の達成感の為か、笑顔で「どろんこ祭だった!」と語ってくれた。
今年の奥久慈トレイルはロング第三関門、ショートの第一関門になっている「竜っちゃん乃湯」とウォーターステーションの「中武生山出口」の間がハイライトとなる筈だった。2023年のデビル5マイルとまではいかないが、中武生山出口まで数多くのピークを越えていかなければならない。この区間を含めた一部をコース変更とした。ロング男子優勝の豊田哲也選手は優勝インタビューで、「一番楽しいところが変更となってしまって、残念。また来年、3連覇と本コースを走れることを楽しみに大会に参加します」、と言う言葉を残してくれた。
その後も続々とロング、ショートの選手が笑顔でフィニッシュ地点の袋田第一駐車場に帰って来た。日が長くなったとは言え、ショートの最終関門時刻の19時には辺りはすっかり暗くなっていた。フィニッシュ地点から数キロ離れた月居山の頂上付近で選手のヘッドライトの明かりがちらちらと見える。「選手のみんな、頑張ってーっ!」、とフィニッシュ地点からエールを送っていたが、声は届いていただろうか。
そして、ロングの最終関門時刻、20時の約15分前、スイーパーと一緒に最終ランナーがゴールゲートを潜り、2025 OSJ奥久慈トレイルは終了した。ショートは制限時間が長いことと、コース変更もあり、完走率は94.5%となった。一方、ロングの完走率は56.1%。今年は直前の雨でトレイルの状況が悪かったが、比較的涼しい気候だった。もし、晴れていて本コースに選手が挑んだ場合、結果はどうなっていただろうか。きっと多くの選手から「奥久慈半端ないって!」、と言う感想が聞けたのではないかと思う。
最後に…
奥久慈トレイルの開催に向け、準備からご協力いただいた地元自治体の皆様をはじめ、ご協賛各社様、救護スタッフ、長時間、選手を励まし続けた大会サポーター、そして大会にご参加いただいた選手の皆様に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
文/J・I
【ロングリザルト】
男子 |
女子 |
総合順位 |
氏名 |
記録 |
総合順位 |
氏名 |
記録 |
1 |
豊田 哲也 |
7:53:38 |
1 |
坪井 光穂 |
9:18:06 |
2 |
松山 優太 |
8:03:12 |
2 |
冨澤 いずみ |
9:31:42 |
3 |
松田 博幸 |
8:09:01 |
3 |
加藤 揚子 |
10:31:52 |
4 |
須永 義伸 |
8:15:58 |
4 |
若林 久実 |
11:21:28 |
5 |
川島 隆雅 |
8:16:25 |
5 |
丸山 有紀 |
11:25:55 |
■出走数:328名 / 完走者:184名 / 完走率:56.1% |
【ショートリザルト】
男子 |
女子 |
総合順位 |
氏名 |
記録 |
総合順位 |
氏名 |
記録 |
1 |
青木 純 |
3:34:15 |
1 |
沼田 夏楠 |
4:25:20 |
2 |
河崎 鷹丸 |
3:42:22 |
2 |
落合 未知子 |
4:26:32 |
3 |
茂木 敬史 |
3:53:46 |
3 |
青木 莉楠 |
4:47:54 |
4 |
齊藤 寛峻 |
4:11:30 |
4 |
沼尾 葉月 |
4:51:41 |
5 |
應戸 慎哉 |
4:18:29 |
5 |
宮坂 康子 |
5:30:53 |
■出走数:344名 / 完走者:325名 / 完走率:94.5% |
受付日(5月24日)
大会日(5月25日)
Photographer Akihiko Harimoto